[ヴァン アレン帯の形成]
地球には大気の存在しない領域まで広がっている磁気圏があるために、最初に太陽風は磁気圏と相互作用します。
太陽風が地球の磁気圏に入ると、太陽のプラズマの一部の電子とH+は、地球の地磁気のローレンツ力によって異なる振る舞いをします。
ヴァン アレン放射線帯は、6,000 km から 13,000 km の間に荷電粒子のないスロット領域があり、高度10,000〜20,000kmの外帯と高度2,000〜5,000kmの内帯があります。
電子の質量が小さいため、太陽風の一部の電子が最初に磁力線に捉えられて、ヴァンアレン帯の外帯を形成します。
結果として電子密度の低下は正電荷の増加を生じます。質量が電子の1836倍もあるH+が数百km/secの速度を持っているので内側の強い磁力線によって捉えられて内帯を形成します。
図10 に示すように,外帯と内帯の間の中間領域では磁力線に取り込まれた電子と正のイオンが反対方向に運動するので、再結合によって荷電粒子の存在しないスロット領域が形成されます。
図10 ヴァン アレン帯の構造。
[太陽風による地球を回る天気の循環]
地球には磁気圏があるので、太陽風が大気の気流に及ぼす影響は金星のように強くはありません。 電子密度が濃い電離層は電波を反射しますが、太陽風のH+は電波を直接に反射しません。
しかし、高速のH+は電子と結合せずに大気中に侵入して太陽風のH+は超高層の大気の分子と衝突を重ねてその速度を失います。 その際に太陽風のH+が大気の原子や分子と衝突電離して、放出された電子により電離層を形成します。
水素原子の密度は上空90 km付近でピークとなり、上空25 km付近に密度がピークのオゾン層があって巨大な磁気嵐が襲う場合を除いて地上まで太陽風のH+が到達することは殆どありません。 しかし、太陽風のH+が大気の分子や原子と衝突する際に持っていた運動量を大気に与えます。 その結果、超高層の地球大気の気流を駆動することをS. Karasawaが指摘しました。
地球の自転に伴い大気も移動しており、その速度は赤道付近ではジェット旅客機程度はあります。
そこで、地球の側面をかすめて通過する太陽風は東側では加速し、西側では減速するので、地球の気象を反時計方向に回します。
地球の昼半球の赤道付近を直撃する太陽風は太陽の自転による回転性分を持っているので時計回転方向に貿易風を駆動します。
図11に示すように地球を周回する偏西風と貿易風は地球の自転と太陽風のH+によって駆動されています。
図11 太陽風と地球の自転による地球の気象の巡回
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